2022.8.2|ファファラ精油物語 鷺島広子/第6回「イランイラン」


  

 

植物にとっての最適な産地から高品質な精油をお届けしているファファラ。

ファファラの精油を毎月1種類ずつご紹介しています

 

 

「花の中の花」、という意味を持つという南国の花。むわりとした熱帯の空気にも負けない力強さを持ちながら風にのって、はるか遠くまでその香りが届くといわれるイランイラン。

 

 

イランイラン(学名:Cananga odorata 科名:バンレイシ科 抽出部位:花)

ファファラ アロマケアカテゴリ―;リラックス

 

 

「花の中の花」、という意味を持つという南国の花。むわりとした熱帯の空気にも負けない力強さを持ちながら風にのって、はるか遠くまでその香りが届くといわれるイランイラン。ローズの様な見た目の華やかさはないけれど、ゲーテがいう「花は葉の変容(メタモルフォーゼ)」という言葉通りの緑から黄色に徐々に変わっていく細い葉のような花びらをしています。しかしその花びらから放たれる予想外の香りは、多くの人たちを古くから魅了してきました。

 

イランイランの香りは、催淫作用を持つ香りの代表ともいわれ、インドネシアでは新婚のカップルのベッドにその花びらをまき散らす風習があることからその作用もうなずけます。性的な情熱を開かせるという意味もありますが、実はそれ以外にも、押しとどめていた感情を解放する作用が高く、葉のようにも見える花びらが一枚一枚好きな方向を向いた形状もそこにつながるかな、とも思います。

 

同時にイランイランの香りは“バランスをとる”作用にも優れています。私たちの心身は、ホルモンバランス、自律神経のバランス、生体のさまざまな絶妙なバランスを取りながら成り立っています。普段は意識せずに整っているものでも、ストレスなど外的要因でそのバランスが崩れることもあります。香り成分が嗅覚を通して本能の脳ともいわれている大脳辺縁系への刺激として届いてそこから生体への作用をもたらす、というのもアロマテラピーの醍醐味のひとつですが、このイランイランの香りのバランシング作用は、まさにこのルートで私たちの心身に働きかけます。

 

3年にもなるコロナ禍、自身の感情を解放できずに苦しさを抱えている方、頑張りすぎている方、弛めたくてもうまく弛められない、そんな方にもおすすめなイランイランですが、いくつかブレンドのご提案を。イランイラン、ベルガモット、シダーウッドのブレンド。それぞれを1:3:1くらいの割合でバスソルトや芳香浴などに使われてもよいでしょう。ディープリラックスには、シダーウッドをサンダルウッドにしていただいてもよいでしょう。ホルモンバランスが気になるという方には、イランイラン、ゼラニウム、パチュリのブレンドもオススメです。お好みでグレープフルーツ、ベルガモットなどを加えても適度に甘く爽やかに使うことができます。いずれにしても少量で充分、入れすぎると逆効果になるので濃度に注意して用います。

 

香りによる脳の反応は比較的即時性があるので、たとえば過呼吸・過緊張になりそうなとき、咄嗟に嗅いでもその効果は実感できます。反対にやる気スイッチを入れたいときには不向きかもしれません。

 

イランイランの香りを構成する成分に目を向けると、ジャスミンとの共通のベンジルアセテート、ゼラニウムとの共通のゲラニルアセテート、またネロリとの共通の成分も含みます。いずれも鎮静や鎮痙などバランスをとり穏やかにする作用が高いものが多く、そのため、炎症やかゆみなどの肌トラブルに対しても活用できます。

 

花特有の解放感をもたらす作用が共通するというのも興味深いですが、ネロリやジャスミンの花はパッと線対称的に開くのに対して、イランイランの場合は前述のように、花びら一枚一枚がひらりひらりと自由な方向に向いているように見えます。その形状をみると香りの作用もまた同様に“自由な解放感“が増す気がするのです。

 

ファファラのイランイランは、蒸留最初の数時間しか採取されないエキストラのさらに極上のスーペリアという品質。ともすると雑味が入りがちな香りですが、ふわりと香る透明感を持ちながらも心身の深いところに届く、まさに極上の香りです。

 

東京では熱帯夜の暑さが続いていますが、暦は土用、立秋過ぎれば秋風を感じる日も増えてくるかと思いますが、夏の解放感に浸りたい夜のお風呂に入れる香りとしてもイランイラン、ぜひ活用してみてくださいね。

 

以上

 

次回はレモングラスです。お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

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鷺島広子(さぎしまひろこ)

 

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰

葉っぱのうらがわ 代表

アロマ&ハーブセラピスト

 

12年間会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。

サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。2019年11月よりファファラのカテゴリー別講座を担当。