植物にとっての最適な産地から高品質な精油をお届けしているファファラ。
ファファラの精油を毎月1種類ずつご紹介しています
〇カルダモン(学名:Elettaria cardamomum 科名:ショウガ科 抽出部位:種子)
カルダモンはショウガ科の植物、その実をスパイスとして、インド料理にはもちろん、アジア各国や北欧料理でパンやスイーツに使用されます。ミルクとも良く合うのでチャイやミルク系のデザートにも欠かせないスパイスです。
カレー好きの私としては、スパイス料理を食べたときにカルダモンの種子が入っているとなんとなく嬉しくて、そのまま口に入れて中の種をカリリとかじります。その瞬間、何とも言えないスッキリした芳香と独特の甘くドライな香りが鼻腔を駆け登り、その感覚をしばし味わうことにしています。
カルダモンの精油は、まさにこの時の鼻腔を駆け登る香りです。1,8-シネオールを多く含むことからローズマリーやユーカリにも似たスッとした香りをまず感じます。同時にリナリルアセテートやテルピニルアセテートといったエステル類特有のフルーティな甘さが漂い、そしてドライな清涼感が鼻腔を通り抜けていきます。
アーユルヴェーダでもよく使われるスパイスで、消化器系、呼吸器系、循環器系、神経系に作用します。カフェインの毒性を和らげ、消化を促進、胃腸の鬱滞感を取り去る作用があります。アラブ諸国でもカルダモンは良く利用されます。例えばオマーンでは、カルダモンとローズウォーターをコーヒーに混ぜた、オマニコーヒーという独特のコーヒーが飲まれますが、なんともいえず美味しいものです。
精油のブレンドも同様に、ローズやパルマローザ、ゼラニウムといったゲラニオールを含む香りと良く合います。また同一成分であるリナリルアセテートを含むベルガモットやラベンダーとも相性がよいです。独特のスパイシーさがあるので、甘くなりすぎずスッキリした仕上がりですが、ブレンドに少しオリエンタルな要素がプラスされるのも特徴です。
例えば、ローズ、シダーウッド、グレープフルーツ、カルダモンは、ちょっと贅沢なアジアンリゾートスパのような香りに。心と体を軽やかに開放してくれるブレンドです。鬱々とした気分の時、身体もなんとなくじめじめしているようなときにもおすすめです。
また、フランキンセンス、ジンジャー、カルダモン、パチュリはスパイシーでいながら、精神的に落ち着きをもたらせてくれるユニセックスな香りとなります。カルダモンが入ることで、香りに軽やかさがでるため、朝や日中のバスタイム(バスソルトやバスミルク)にもよいでしょう。男性用のオリエンタルなコロンとしても利用できそうです。
植物としてのカルダモンは、沖縄などにも自生する「月桃(げっとう)」ととても似ている点が多いように思います。葉っぱや花のつき方、そして種の構造や地下でも増えていく様、
どちらも独特のスパイシーさと甘さ、そして消化器系に役立つ作用を持っていますね。
元々熱帯で育つ植物、身体に爽やかな風を吹かせてくれるカルダモンの香りは、湿度の多い夏に活躍するかと思います。健やかに夏をお過ごしください。
次回はジンジャーの予定です。お楽しみに!
============================
======================================
鷺島広子(さぎしまひろこ)
ハーバリスト・アロマセラピスト
ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰
葉っぱのうらがわ 代表
12年間の会社員として大手メーカーにてシステムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンH【a∫】(アッシュ)を開設。いにしえからの植物と人との関わりが手仕事、モノづくりや商品として繋がっていく場づくりとして2013年“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。
アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ暮らしに役立てるフィールドワークを行う。植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施。書籍「ケルトの植物」読書会を2015年より実施し開催回数100回を超える。植物の恵みを活かす商品コーディネートやイベント企画を行い、東京都国分寺市のカフェスロー内にある「暮らしを耕すマーケット」では、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。