植物にとっての最適な産地から高品質な精油をお届けしているファファラ。

ファファラの精油を毎月１種類ずつご紹介しています

〇アイリス(学名：Iris germanica　科名：アヤメ科　抽出部位：根)

ファファラ　アロマケアカテゴリ―；つつまれて

 アイリスの精油は、数ある精油の中でも特殊な採り方をします。ドイツアヤメと呼ばれるアヤメの種類の掘り上げた根を、数年の間乾燥させ、醗酵しかけたものを蒸留します。採油量がわずかなこと、そしてかなり濃厚なことからとても希少な精油としても知られます。同時に古くから保香剤として、高級な香水のベースノートとしても使われています。

　その香りは、とても優雅、エレガントという形容がぴったりで、単体でも、フローラル、ウッディ、ハーバルと様々な香りが組み合わさったような複雑で奥深い香りです、普段のブレンドにほんの少し(ファファラでは1％希釈でも1滴で充分です)加えると、たちまち奥行きが広がり、深くまとまった香りとなります。

　主要成分のイリスが特徴成分で、ギリシャ語で「虹」を意味する言葉に由来します。瞳の虹彩も同じ語源で、その花の様相から付けられたといわれています。ただ、この根の香りもまた様々な様相を持ち、何層にも香りが重なっているように感じることから、もしかしてこの多彩な香りの特徴からから名がつけられたのではないかと妄想してしまいます。

ベチバーやアンジェリカなど根のものは共通して神経系の強壮作用やバランスをとる作用に長けていると考えています。アイリスも例にもれずその作用は大きいと思います。

美白やシミやシワといった加齢に伴うお肌の悩みにも役立つ成分で構成されていることからアンチエイジングを目的とした化粧品材料としても使用されていますが、芳香成分が嗅覚から及ぼす神経系への作用も大きい様に思います。個人的には名前の由来になった「虹」の色でも表される、人体における７つのエネルギー体(７つのチャクラ)のバランシングに長けているのがこのアイリスの最大の特徴のように感じています。

　様々な様相を持つだけに、多くの精油との相性がよい、というよりも、合わせる精油の特徴を活かしながら深さをより増し、全体をまとめていく働きをします。サンダルウッドやシダーウッドと合わせるとウッディさを増強しながら華やかさを添え、そこにローズなどの花が加わると非常に高貴な香りに仕上がります。

　また柑橘系のオイルとの相性も良く、ベルガモットと合わせると心の深い安らぎに繋がるような、そして優雅さを持ち合わせる香りになります。そこにカモミールなどと合わせると包み込まれるような優しい香りにまとまります。トップノートを集めた香りに深さや落ち着きをもたらせたいときにもよいでしょう。

ベースノートで用いる香りに共通しますが、空気に触れることで香りがさらに広がり深く、強くなるため、ブレンドした直後よりも少し時間が経った方がより香りが広がります。個人的な感覚かもしれませんがアイリスの香りは特に日中と夜では香りの感じ方の差が大きく、朝より夜の方が、甘く、深く、心に響き、これが神経系のバランシングにも繋がるのではないかと思います。

　この時期、花菖蒲やアヤメなど、このアイリスの仲間の花が日本でも各地で見られます。水辺に咲いている様はどこか浮世離れしているようにも感じます。花の様相も眺めつつ、根から長い時間を経て採られるアイリスの香りを心と身体全体で感じてみるのも良いかもしれません。

次回はカルダモンの予定です。お楽しみに！

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【ファファラの植物民族学　香りの旅　フランス／アイリス】も併せてご覧ください。

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鷺島広子(さぎしまひろこ)

ハーバリスト・アロマセラピスト

ホリスティックアロマサロン　Ｈ【ａ∫】(アッシュ)　主宰

葉っぱのうらがわ　代表

12年間の会社員として大手メーカーにてシステムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンＨ【ａ∫】(アッシュ)を開設。いにしえからの植物と人との関わりが手仕事、モノづくりや商品として繋がっていく場づくりとして2013年“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。

アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ暮らしに役立てるフィールドワークを行う。植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施。書籍「ケルトの植物」読書会を2015年より実施し開催回数100回を超える。植物の恵みを活かす商品コーディネートやイベント企画を行い、東京都国分寺市のカフェスロー内にある「暮らしを耕すマーケット」では、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。