植物民俗学 香りの旅 イタリア/ピエモンテ


 

植物:イモーテル、ラベンダーなど

栽培地域:タリア、ピエモンテ州

栽培パートナー開始時期:1997年

栽培面積:20~30ha

特徴: 伝統的な地中海の薬用ハーブのバイオダイナミック栽培に情熱を注ぐ独立した42の生産者の協同組合

 

植物農家と長期的なパートナーシップを築き、国、人々、文化を知り、友好的なコミュニケーションを図るための香りの旅は、ファファラの大切な企業文化です。生産者が私たちの基準を満たしてくれているかどうかも確認したいと考えていますが、私達に沢山のエッセンシャルオイルを供給してくれているピエモンテ州の協同組合の組合員ほど頻繁に会っている生産者はいません。


ピエモンテの7つの山を背景に続く美しくなだらかなおとぎ話のような丘陵地帯、人里離れた辺鄙な場所に、芳香植物の有機栽培に全力で取り組んでいる多くの生産者がいます。

人里から離れた驚くほど美しい渓谷や丘の斜面、観光客がほとんど行きつけない場所に、地中海の芳香植物や薬草が植えられ、夏に収穫されて人々に届けられます。協同組合は共同蒸留所をもっています。

栽培から収穫、蒸留に至るまで、バイオダイナミック栽培の厳格なガイドラインに従って作業を行っています。ファファラはこのプロジェクトからさまざまなエッセンシャルオイルを入手しています:ラベンダー・ファインBIO GC、ペパーミント、イモーテル、ヒソップ、タイム・チモール、フェンネル・スイート、カモミール・ローマン、メリッサ、クラリセージ、セージ。組合に所属する42の独立した生産者が総面積230ヘクタール*の畑で芳香植物を栽培しています。彼らの畑は、ピエモンテのなだらかな丘陵地帯に青や紫、明るい緑や黄金色に彩っています。 協同組合のメンバーの一人であるロベルト氏が私たちを招待してくれました。私たちは、典型的な地中海の薬草であるヒソップ、ミント、イモーテルの栽培について彼からもっと学びたいと考えています。

*230ヘクタール=東京ディズニーランド約5個分 

 

ロベルト氏に事前に手書きの地図を送ってくれたので、私たちはイモーテレンフェルトで会うことに同意しました。地図を送ってくれたのは良いのですが、スケッチが下手でした。なぜなら、丘と谷とラベンダーが並ぶ蛇紋岩の間で完全に道に迷ってしまったからです。少なくとも、私たちはロベルトの農場があるはずの村を見つけたようですが、私たちの持っている日本製のナビゲーション装置もこのエリアにはお手上げのようです。きっと誰かが私たちを助けてくれるでしょう!しかし、ロベルト、ヒソップ、イモーテルについて尋ねても困惑した顔が返ってくるだけです。村の年配の女性が有望な手がかりを提供してくれました。

 

奥の谷に美しい黄色いラベンダー<la lavanda giall>畑を持つ農夫がいたでしょう? 

黄色いラベンダー?ロベルトに違いありません!

 

それ以来、イモーテルにはこの「黄色いラベンダー」のニックネームが付けられています。しかし、アロマテラピーにおけるラベンダーをイモーテルの同じと考えるべきではありません。どちらも全体的にリラックスさせますが、ラベンダーは主にグラウンディングして身体のバランスを整え、イモーテルは精神的にバランスを整え、開放します。そのエッセンシャルオイルはフランスのアロマセラピストであり、医学博士であるダニエル・ペノエル博士が、血液循環を促進し抗炎症作用に優れる点でアロマテラピーの「スーパーアルニカ」と呼び、応急処置オイルとして非常に優れています!

専門文献を調べて、イモーテルのエッセンシャルオイルとその芳香蒸留水の用途をよく理解することは間違いなく価値があります。フランス語で「不滅」という名前が付けられたのは、収穫後数カ月経ってもほとんど失わない美しい黄色い花に由来します。そして、その若返りと再生の特性はスキンケアでも高く評価されています。

 

 

その香りは圧倒的です。太陽がすべての花からスパイシーで甘いカレーのような香りを引き出します。

 

ナポレオンは、船が自宅のあるコルシカ島に近づいたことが、海風にのってくるイモーテルの花の香りで分かったといわれています。「Helichrysum italicum」は、イタリアとコルシカ島はじめ地中海全域が原産です。暖かく乾燥した不毛の土壌を好み、海岸から内陸部までの丘や谷を黄色い花の絨毯で覆います。

 

 

7つの山の後ろ、7つの丘に囲まれた本当に美しい野原が私たちに向かって輝きます。ヒソップは青く輝き、咲き誇る黄金色のイモーテルに勝るとも劣りません。香り豊かな植物の間を歩くロベルトの表情が雄弁に物語っています。この素晴らしさを見てください! 彼の表情に見られるささやかな誇りは、1 年をとおしての献身的な仕事に対する満足感と自然への感謝です。こうした瞬間が私たちにとって特に大切です。生産者と実際に会うことで、私たちは感謝の気持ちを込めて、環境に優しい農業に仕事としてかかわっていく力とインスピレーションを引き出します。私たちが植物、農業と関わり始めて 30 年以上になりますが、そのうちの20 年以上をロベルトとジャンカルロを中心としたピエモンテの協同組合と協力してきました。

 

 

ピエモンテはトリュフとワインで有名ですが、伝統的な地中海のハーブや芳香植物も誇らしい文化遺産の一部です。 道に迷い太陽の光に疲れ果て、アグリツーリズムの一日をゆっくりとおいしい食事で終えようと帰宅する途中、思いがけずサラ・サン・ジョヴァンニ村のハーブフェスティバルに参加して実感しました。 

 

ロベルトの農園からそれほど遠くない、この小さな村は丘の上に位置し、多くの香り豊かなハーブ畑に囲まれています。毎年6月末にここで「ノン・ソロ・エルベ」が開催されます。3 日間にわたるこのフェスティバルには何千人もの観光客が集まり、地元の人にも観光客にも人気があります。それはハーブフェアのようなもので、地域の人々が芳香植物やハーブに関するあらゆるものを提供する小さな屋台を出店します。 私たちにとって偶然の幸運でした。絵のように美しい広場では音楽とダンスに魅了され、日陰の路地ではピエモンテ料理の屋台に誘惑され、大好きな芳香植物に囲まれました。伝統的なハーブの特選品に加えて、私たちはここでハーブを使用した、革新的で時には非常に奇妙な製品を沢山目にしました。芳香植物の愛好家なら「ノン ソロ エルベ」への訪問は必須です!