2023.8.1|ファファラ精油物語 鷺島広子/第18回「シダーウッド・バージニア」


  

 

植物にとっての最適な産地から高品質な精油をお届けしているファファラ。

ファファラの精油を毎月1種類ずつご紹介しています

 

シダーウッド・バージニアはジュニパーと同じヒノキ科で、木部が赤いことから別名レッドシダーとも呼ばれます。呼吸器と安眠に深いかかわりを持つ香り。立秋間近の暑い日が続いていますが、シダーウッドの深くもすずやかな木の香りで涼をとってみるのはいかがでしょうか?

 

 

シダーウッド・バージニア(学名:Juniperus virginiana 科名:ヒノキ科 抽出部位:木部)

ファファラ アロマケアカテゴリ―;集中力

 

 

 

 シダーウッドと呼ばれる木にはヒノキ科のものやマツ科のものがあり。今回ピックアップしたシダーウッド・バージニアは、学名からも分かる通りジュニパーと同じヒノキ科で、木部が赤いことから別名レッドシダーとも呼ばれます。

 

 和名ではエンピツビャクシンとも呼ぶことを知った時に、小学生の頃鉛筆の端っこをガリガリと歯で噛んだときの香りの記憶がはっきりと浮かび上がり、その時の教室の風景までもが思い出されました。香りと記憶の結びつきには、改めて驚きます。

 

 シダーウッド・バージニアは他のシダーウッドと比べて、よりアーシング(グラウンディング) 感が強い気がします。成分的には、安眠成分として知られるセドロールや去痰作用を持つα-セドレン、また、アスナロ(ヒバ)精油などにも多く含まれるツジョプセンを含むことが特徴といえるでしょう。ツジョブセンは、抗菌作用や防虫作用の他、近年は抗ガン(抗腫瘍)作用の研究でも注目されている物質です。

 

 対して、よく比較されるマツ科のシダーウッド・アトラスはツジョプセンと同じセスキテルペン類でもあるヒマカレン(α・β・γすべて)を含むことが特徴的で、気管拡張作用や鬱滞除去作用などが挙げられます。

 

 ファファラのシダーウッド・バージニア(アメリカ産)とシダーウッド・アトラス(モロッコ産)は産地も成分組成的にも異なりますが、どちらも鎮咳や鎮静、鬱滞除去などの似たような目的で使用されるのも面白いなと思います。

 

 私自身の経験ですが、家族が風邪の後遺症の咳で眠れないときに、ティッシュにシダーウッド、オレンジスイート、ラベンダーを1滴ずつ垂らして寝室に置くと、5分と立たないうちにすーっと眠りにつくことが何度もありました。“咳にはユーカリ”という定説もあるようですが、私自身やクライアントさんのお話からも経験から、シダーウッドが活躍するシーンも多いようです。

 

 安眠という観点からもシダーウッドは活躍します。セドロールの働きも大いにあるかと思いますが、ラベンダーやカモミールなどの鎮静作用の高い精油とのブレンドが相乗効果を増す気がします。先の鎮咳にも役立つのは、シダーウッドが持つ抗不安作用も関係するかなと思います。

 

 さらにスキンケアでもシダーウッド・バージニアは活躍します。特徴成分のひとつセドロンには静脈強化作用があり、むくみなどにも効果的とされています。トリートメントオイルにしてもよいですが、夏にボディパウダーなどを作る際にイランイランやフランジュパニなどの南国の花の精油とブレンドすると、シダーウッドの少しパウダリーな香りが引き立ち、南の国のリゾートスパのような気分が味わえます。お好みでクラリセージとブレンドしてもよいでしょう。

 

 同じ木の香りということで、サンダルウッドと比較すると、どちらも呼吸を深くしてくれる香りですが、サンダルウッドが深い鎮静作用があるのに対して、シダーウッドは、心身ともに程よく鎮静しながら元気づけてくれる強壮作用も持ち合わせています。

 

 屋外でのイベント出店でアロマのアイテム作りのワークショップを行う際、お客様がシダーウッドの香りを嗅ぐと、深く息をされ、ふぅっと落ち着かれる方が多い様に感じます。ブレンドをすると他の香りを引き立ててくれるベースノートとして活躍し、さらにその成分が虫除けやデオドラントやスキンケアとしても役立つ、改めて植物の香りが持つ多様な力を感じさせてくれる香りだと思います。

 

 立秋間近の暑い日が続いていますが、シダーウッドの深くもすずやかな木の香りで涼をとってみるのはいかがでしょうか?

 

 次回は、ゼラニウムの予定です。お楽しみに。

 

 

 

 

 

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鷺島広子(さぎしまひろこ)

 

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰

葉っぱのうらがわ 代表

アロマ&ハーブセラピスト

 

12年間会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。

サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。2019年11月よりファファラのカテゴリー別講座を担当。