2023.7.3|ファファラ精油物語 鷺島広子/第17回「サロ」


  

 

植物にとっての最適な産地から高品質な精油をお届けしているファファラ。

ファファラの精油を毎月1種類ずつご紹介しています

 

マダガスカル原産の植物で現地での名前「マンドラヴァサロトラ(略してサロ)」は“悪を遠ざける”という意味の植物。日本では馴染の薄い精油ですが、同じくマダガスカルの固有種であるラヴィンサラと比較しても香りはより暖かく、穏やかで、精神を落ち着かせます。毎日の健康維持に、お子様にもおすすめの精油です。

 

サロ(学名:Cinnamosma fragrans 科名:カネラ科 抽出部位:葉)

ファファラ アロマケアカテゴリ―;ウェルビーイング

 

 

 

 「サロ」という名前も「カネラ科」もあまりなじみのない方が多いのではないでしょうか? 

 

 マダガスカル原産の植物で現地での名前、「マンドラヴァサロトラ(略してサロ)」は“悪を遠ざける”という意味だそうです。その作用は、ラヴィンツァサラに匹敵すると言われますが、香り自体はすっきりしながらも独特の温かみややわらかい甘さを持ち合わせています。

 

学名の Cinnamosma は古いラテン語での”シナモン+小さな”を意味し、fragrans は、“香りのある”という意味なので、全体としては“香りがする小さなシナモン” を意味する名前で、古くからその香りのある植物を暮らしに利用していたのでしょう。地域によりリーフティとして葉をお茶にして飲むこともあるようです。葉の形状をみると、シナモンリーフというよりもどちらかというとフトモモ科のフェイジョアやオールスパイスなどの熱帯系の植物の葉に似ているなと思います。香りもシナモンというよりも、どちらかというとユーカリやローズマリ―に似たすっとした香りの方が立つ気がします。

 

 成分組成は、1.8シネオール、リモネン、リナロールが主成分。同じ1.8シネオールを多く含むローズマリーよりも比較やわらかく、ハーブ系全般とも相性がよいと思います。リモネンを含むことから、共通項でもある柑橘系の香りとブレンドして芳香浴などで用いるのもよいでしょう。また、木が持つ独特の安心感のようなものを感じる香りでもあるので、マツやモミなどの針葉樹系と合わせても、すっきりさと甘さのバランスが面白い香りに仕上がると思います。

 

免疫賦活作用も高いことから、芳香浴や呼吸器系のケア、感染症予防に役立つ香りです。心を元気づける作用も高いので、倦怠感や生活にメリハリをつけたいと感じる時のおだやかなスイッチの切り替えとしても利用できます。

 

 精油自体は葉から採取しますが、中心部から出る緑、赤の実の様子に目を奪われます。花はどんなかしら?どんな香りがするのかしら?などと考えつつ、葉の精油の香りを感じるのも楽しいものです。

 

 私自身もその姿形は写真でしか見たことがありません(もしかしたら植物園の温室などで見ていたかもしれませんが気が付かず…)。日本では生育していない植物の、その香りを感じられる、という点でも、精油というのはすごいなと改めて思います。また、成分組成だけからは見えてこない、現地の空気感や温度感を感じるのも楽しいもの。あくまで個人的な印象ですが、サロの香りを空間に香らせていると、なぜか海の情景が目に浮かびます。同時に何か懐かしさを感じる甘さが際立ってきます。これが私個人の記憶か何かと結びついているのか、はたまたマダガスカルの島の空気を感じ取っているのかはわかりませんが、このような感覚を味わいながら香りを楽しむこともアロマテラピーの醍醐味のひとつですね。

 

日本は今ちょうど梅雨の時期、湿度による不快感、鬱滞感を感じるときなどに、サロ、レモン、ゼラニウムのブレンドをお部屋に香らせてみるのはいかがでしょうか? また、フランキンセンスや針葉樹など呼吸器系のケアにも共通する香りを合わせるのもオススメです。

 

 次回は、シダーウッドの予定です。お楽しみに。

 

 

 

 

 

======================================

鷺島広子(さぎしまひろこ)

 

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰

葉っぱのうらがわ 代表

アロマ&ハーブセラピスト

 

12年間会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。

サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。2019年11月よりファファラのカテゴリー別講座を担当。