2023.10.4|ファファラ精油物語 鷺島広子/第20回「ホーウッド・リナロール」


  

 

植物にとっての最適な産地から高品質な精油をお届けしているファファラ。

ファファラの精油を毎月1種類ずつご紹介しています

 

日本にも古くから馴染ある木でもあり、どこかオリエンタルな印象を持つホーウッド・リナロールは、秋のメランコリックな気持ちに安心感をもたらすことで、眠りを深くする働きにもつながります。

 

 

ホーウッド・リナロール(ケモタイプ)(学名:Cinnamonum camphora 科名:クスノキ科 抽出部位:枝)

ファファラ アロマケアカテゴリ―;リラックス

 

 

 

 ホーウッドと聴くとあまりなじみのない方も、クスノキの仲間でローズウッドに似た香り、芳樟(ホウショウ)と呼ばれることもあると云うと、あぁ!と納得してくださる方も多いかなと思います。樟(クスノキ)自体は日本では神社仏閣でのご神木となっているところも多く見られます。昔から虫除け剤として使われている樟脳はクスノキの香り成分を凝縮したもので、この成分が厄や災いを除けるということから植えられているともいわれています。また、セイロンシナモンやニッケイもクスノキ科、その香りが様々な料理やお菓子にも使われています。

 

 どちらかというと強い香りを持つクスノキの仲間の中で、刺激が少なく優しい香りがホーウッド・リナロールの特徴です。クスノキやシナモン等に含まれる香りにはケトン類といわれる成分が多く含まれ、大量の摂取は、神経系や肝臓にダメージを与える可能性があります。ホーウッド・リナロールは、そのケトン類がごく少量で、名前の通りリナロールを多く含むことから、その香りも作用も優しいのが特徴です。

 

 副交感神経を優位にするリラックス作用が高いリナロールを多く含む植物には、ラベンダーやネロリ、ローズウッド―などが挙げられます。またリナロールは抗菌・抗ウィルス作用も持っていることから身体の防御機能をサポートしてくれながらリラクゼーションを促す成分、と言えるでしょう。

 

 加えて、ラベンダーが葉や花、ネロリが木の花、に対してホーウッド・リナロールは、木の枝という植物の種類や部位でも特徴的です。たとえ同じ成分で構成されている香りでも、その植物が作り出す空間、土地のエネルギー的なものが精油に含まれているような気がします。ホーウッド・リナロールの香りは何か大きなものに抱かれるような安心感を覚える香りに感じます。

 

 日本で樟(クスノキ)がたくさん植えられているところに実は芳樟が混ざっていることが多く、落ちている葉っぱの香りを嗅ぐと分かります。決め手はその葉っぱの縁の部分が波打っているか否かというところで見分けるということを恩師に教えていただきました。以来、私の中での芳樟は、波打つ葉の柔らかな曲線のイメージと結びついています。(実際には芳樟にも多くの種類があるようです。)

 

 ブレンドとしても、ホーウッド・リナロールの優しいリラックス作用を活かすような組み合わせがおすすめです。例えばホーウッド・リナロール、ラベンダー、オレンジ・スイートは温かみのある香りで不安感が強いときなどに安心できるブレンド。また、ホーウッド・リナロール、ゼラニウム、レモンは安心感を与えながらも背中を押してくれるような香りに仕上がります。また、抗ウィルス・抗菌作用にフォーカスした3種の木、ホーウッド・リナロール、ティーツリー、シダーウッド・バージニアのブレンドは人が集まる空間の芳香浴におすすめ。バリア機能を持ちつつ程よいリラクゼーションを促す香りになるかと思います。お好みの柑橘精油をプラスしてもよいでしょう。

 

 日本にも古くから馴染ある木でもあり、どこかオリエンタルな印象を持つホーウッド・リナロールは、秋のメランコリックな気持ちに安心感をもたらすことで、眠りを深くする働きにもつながります。上手に利用して急な気温変化による体調の乱れの予防にも使っていきたいものです。

 

 次回はラヴィンサラです。実は今回のホーウッド・リナロールと同じ学名を持ちながら、全く異なる性質を持つ香りをご紹介します。お楽しみに。

 

 

 

 

 

 

======================================

鷺島広子(さぎしまひろこ)

 

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰

葉っぱのうらがわ 代表

アロマ&ハーブセラピスト

 

12年間会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。

サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。2019年11月よりファファラのカテゴリー別講座を担当。